「どうみられたいか」よりも「どうありたいか」
銀座コーチングスクール(GCS)広報チーム 森水三香子です。
先日、GCS認定プロフェッショナルコーチの2回目の更新をしました。
そこで学んでいた頃を思い出し感じたことがありましたので、今日はそのお話をしたいと思います。
コーチングを学び始めた頃、私は「どう見られているか」をとても気になっていました。
クライアントから頼りがいのあるコーチに見えているか。
講師や仲間から「優秀な学習者」と思われているか。
失敗したくない、弱さを見せたくない、そんな思いが心のどこかにいつもありました。
けれど、ある日ふと気づいたのです。
「自分は何者でありたいのか?」
「本当はどんなコーチでいたいのか?」
という問いの方が、自分の内側に静かに、でも確かに響いていることに。
「どう見られたいか」は、他者の評価を基準にした姿です。
社会の期待、他人の目、承認欲求。
これらは常に変動するものであり、それに合わせて自分の軸が揺らいでしまうと、
本来の自分を見失ってしまいます。
一方、「どうありたいか」は、自分の価値観や信念に根ざした選択です。
たとえ誰にも評価されなかったとしても、
「自分が選んだこの在り方を、私は大切にしている」と言える。
それはとても強く、静かで揺るぎない力です。
そしてこの「在り方」は、クライアントとの関係性においてこそ、その真価が問われるのです。
たとえば、クライアントが迷っているとき、苦しんでいるとき、感情を爆発させているとき。
コーチとして「正しく対応しなければ」「頼れる存在として見られたい」といった見られ方の欲求が顔を出す場面もあります。
でも、その瞬間に立ち返るべきは「私はどう在りたいか?」という問いです。
答えを出すことより、共に問い続ける存在でいたいのか。
安心感を与える存在でありたいのか。
クライアントの可能性を信じて見守る在り方を選ぶのか。
たとえ正解がなくても、その在り方を選び続けることができるか。
クライアントの感情の揺らぎに巻き込まれることなく、
それでも寄り添い続けることができるか。
これが、コーチングの「スキル」の土台となる「自己基盤」なのです。
ICFの定義にあるように、コーチングとは「クライアントとのパートナー関係」です。
上でも下でもなく、同じ高さで、同じ方向を見つめながら歩む。
その時、コーチに求められるのは完璧な答えではなく、「どう在るか」という誠実な姿勢です。
クライアントもまた、「どう見られたいか」に悩み、もがいています。
社会での役割、家族からの期待、周囲との比較。
そうした外側の声に飲み込まれそうな時、静かにこう問いかけてみるのです。
「あなたは、本当はどう在りたいと思っていますか?」
そしてこの問いは、コーチ自身にも同じように返ってきます。
私たちは、どんなコーチで在りたいのでしょうか。
どんな姿勢で、どんなまなざしで、クライアントと関わり続けたいのでしょうか。
私が大切にしている在り方のひとつに、「ありのままを尊重する」があります。
クライアントの言葉を評価せず、その人の今のままを受け止め、信じて関わること。
それは、私自身が「ありのままで価値がある存在で在りたい」と願っているからこそ、大切にしていることです。
スキルや資格、肩書きはコーチとしての一側面にすぎません。
私たちの「在り方」が、クライアントにとって最も安全で、信頼できる場をつくります。
「どう見られたいか」に迷ったときこそ、自分に問いかけてみましょう。
「私は、どう在りたいのか?」
その答えが、あなたのコーチングに深みと一貫性を与えてくれるはずです。