「我慢」と「辛抱」の違い - 心が軽くなるコーチング的ものの見方

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「我慢」と「辛抱」。

よく似た場面で使われる言葉ですが、じつは心の向きがまったく違うと感じています。

日々の仕事や家庭、人間関係の中で、私たちは知らず知らずのうちに「我慢」を重ねてしまうことがあります。

けれど、その一部は「我慢」ではなく、未来につながる「辛抱」に変えられるかもしれません。

今日は、コーチングの視点からこの二つの違いを見つめ直しながら、 心が少し軽くなるものの見方をご一緒できればと思います。

「我慢」は、自分の気持ちにふたをすること

職場で、上司の指示に「本当はこうした方がいいのにな」と思いながらも、場の空気を乱したくなくて黙ってしまうことはないでしょうか?

家庭で、言いたいことがあっても、

「波風を立てたくないから、このくらい我慢しておこう」

と飲み込んでしまうことはありませんか?

このとき私たちは、心の中に浮かんだ本音や感情に、そっとふたをしています。

「我慢」とはまさに、自分の気持ちを押し殺し、その場をやり過ごすために 自分をぎゅっと小さくまとめているような状態です。

短い時間であれば、それで場が丸く収まることもあるでしょう。

けれど、それが積み重なっていくと、心の中にモヤモヤや不満がたまり続け、気づかないうちにエネルギーがじわじわと消耗していきます。

「辛抱」とは、望む未来のために意味を感じながら耐えること

一方の「辛抱」は、同じように「楽ではない状態」に身を置いていても、そこに「目的」や「意味」が通っている点が大きく違います。

たとえば、資格取得の勉強をしているとき。 遊びたい気持ちや目の前の誘惑があっても、

「この先の働き方を変えたい」
「こんな人の役に立ちたい」

という思いがあると、今の勉強は単なるガマンではなく、「未来につながる時間」だと感じられます。

部下の成長を信じて、すぐに答えを教えずに、問いかけを続ける場面も同じです。

短期的には遠回りに見えることでも、「このプロセスが、この人の力になる」と感じられるとき、それは「辛抱」になります。

だから私たちは、「もう少しの辛抱だね」とは自然に言えても、「もう少しの我慢だね」とは、あまり言わないのだと思います。
どちらも楽ではないけれど、一方には「自分の気持ちにふたをする感覚」があり、もう一方には「未来への期待や納得感」がある。

この違いが、「我慢」と「辛抱」を分ける大きなポイントです。

コーチングの場で大切にしているのはどちらか

コーチングの場で大事にしているのは、言うまでもなく「辛抱」のほうです。

コーチがクライアントに「もっと我慢しましょう」と伝えることはありません。
むしろ、これまで我慢してきたことに光をあて、安心して本音を話してもらうことを大切にしています。

「本当はどう感じているのか」
「何にモヤモヤしているのか」
「どんな状態になれたら、心からうれしいのか」

こうした問いを重ねていくことで、自分が大切にしたい価値観や、心から望んでいる未来が少しずつ言葉になっていきます。

すると、同じように大変な状況に向き合っていても、「なんとなく我慢している」感覚から、「自分で選んで辛抱している」感覚へと、じわりと変化が起こります。

多少しんどくても、「この一歩は、たしかに自分の目標につながっている」と思えると、目の前の時間が「消耗」ではなく「成長」として感じられるようになっていきます。

職場で起きがちな「我慢」と、そこから生まれる空気

職場の場面を少しイメージしてみましょう。

会議で意見があっても、
「反対意見を言ったら浮いてしまうかもしれない」
「前にも言って変わらなかったし、今回も我慢しておこう」
そんな思いから、口をつぐんでしまう人が多い組織では、表面的には静かで問題がないように見えても、水面下では「我慢」が積み重なっていることがあります。

このような空気が広がると、心理的安全性は育ちにくくなります。

本音を言うことがリスクのように感じられ、 新しいアイデアや率直なフィードバックも生まれにくくなってしまいます。

一方で、お互いの話にきちんと耳を傾け、ときには時間をかけて意見の違いをすり合わせていく職場もあります。

そこでは、すぐに結果が出ないとしても、「この対話には意味がある」「この時間はチームのためになっている」と感じやすくなります。

ここには、我慢ではなく「辛抱」が流れています。

対話を続ける辛抱、相手を信じて見守る辛抱、チームとしての成長を見据えて、目先の効率だけを追いかけない辛抱。

そんな空気の中では、やがて信頼関係が育ち、チームとしての成果にもつながっていきます。

「これは我慢?それとも辛抱?」と立ち止まってみる

忙しい毎日の中では、自分が今どちらの状態にいるのかを、ゆっくり振り返る時間は多くありません。

けれど、ときどき立ち止まり、

「これは、私が本当に大事にしたいものにつながっている"辛抱"だろうか」
「それとも、自分の気持ちにふたをしてしまっている"我慢"だろうか」

と自分に問いかけてみるだけでも、目標に向かうプロセスが少し違って見えてくることがあります。

もし「どうも我慢の割合が多いかもしれない」と感じたら、そこで一度、何のために頑張っているのかを見直してみることもできますし、 本音を安心して話せる相手や場をつくってみる、という選択肢も見えてきます。

そんな小さな一歩が、「我慢」から「辛抱」へのシフトをそっと後押ししてくれます。

違いを"体験"で味わってみたい方へ

ここまで読み進めてくださった方の中には、

「自分の中の我慢と辛抱を、もう少し整理してみたい」

「本音を大切にしながら、前向きに進める方法を見つけたい」

と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

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