行き詰まりをほどき「気づき」を得るコツ「視点を移動する」

同じところでぐるぐる考えてしまったり、分かっているつもりなのに行動に移れなかったり。
そんな「行き詰まり」を感じるとき、私たちは気づかないうちに、ひとつの見方だけで物事を捉えていることがあります。
コーチングでは、その行き詰まりをほどくために「視点を移動する」という、とてもシンプルでありながら効果的な関わり方を大切にしています。
同じところでぐるぐるしてしまう理由
コーチングの場では、コーチが投げかける質問に答えていくうちに、クライアント自身が考えを整理し、「ああ、自分は本当はこう思っていたのか」と気づいていく姿をよく目にします。
ところが、ときどき、いくら話してもなかなか先へ進めない場面があります。
頭の中では同じことを何度も考えているのに、具体的な一歩が見えてこない。やらなければと思いながらも、なぜか行動につながらない。
こうした状態の背景には、「自分でも気づかないうちに、同じ種類のメガネをかけたまま物事を見続けている」ということがよくあります。
そのメガネは、「こうあるべきだ」という思い込みかもしれませんし、「きっと○○に違いない」という決めつけかもしれません。
あるいは、「自分なんて」という評価が、見える範囲を狭くしてしまっている場合もあります。
行き詰まりをほどく「視点の移動」
そこでコーチが用いるのが、「視点を移動する」ための問いかけです。
うまくいっていない部分ばかりに意識が向いているときには、あえて「その中で、少しでもうまくいっているところはありますか?」と尋ねてみます。
すると、クライアントはそれまで見落としていた「できている点」に気づき、気持ちが少し緩むことがあります。
逆に、先の不安ばかりがふくらんでいるときには、「半年後、少し状況が良くなっているとしたら、どんな変化が起きていそうですか?」と、未来の自分から今を振り返ってもらうこともあります。
あるいは、「過去に似たような状況を乗り越えた経験はありますか?」と、これまでの歩みを思い出してもらったり、「もし制約が何もないとしたら、どうしたいですか?」と、現実の枠を一度外して考えてもらったりすることもあります。
視点を少し動かすだけで、同じ出来事の意味が変わって見えてきます。
「どうにもならない」と感じていた状況が、「もしかすると、自分で自分を縛っていただけかもしれない」と思えるようになったり、「だったら、まずこれから始めてみようか」と、具体的な一歩が浮かんできたりするのです。
視点が増えると、選択肢も増える
視点を移動することの良さは、「正しい答え」を押しつけられるのではなく、「物事の見え方のバリエーションが増える」ことにあります。
たとえば、「こう考えるしかない」と思っているときには、その考え方ができない状況に直面した瞬間、「もうお手上げだ」と感じてしまいがちです。
ところが、同じ状況を、肯定的な視点、未来からの視点、過去の経験からの視点、感情そのものに寄り添う視点など、いくつかの角度から眺めてみると、「完全な行き止まりだと思っていたけれど、横に小さな通路があった」と気づくことがあります。
この「小さな通路」が見えるかどうかが、行動の出方に大きく影響します。
コーチングは、コーチが答えを用意するのではなく、クライアント自身がその小さな通路を見つけられるように、質問という形でそっと灯りを当てていくような関わりだと言えるかもしれません。
「視点を移動する」質問を学ぶには
銀座コーチングスクールのクラスでは、この「視点を移動する」ための質問を、さまざまな角度から扱っていきます。
セッションの中でクライアントが考えあぐねているとき、沈黙が続きそうなとき、コーチはどのような問いかけで視点の移動を促すのか。言葉を少し変えるだけで、相手の受け取り方や、その後の会話の流れがどのように変わっていくのか。
実際の場面を想定しながら練習を重ねることで、「今、この人にとって役に立ちそうな視点はどこだろう」と自然に考えられるようになっていきます。
不思議なもので、こうしたトレーニングを積んでいくと、クライアントへの関わり方だけでなく、自分自身のものの見方も少しずつ柔らかくなっていきます。
仕事でのコミュニケーション、家族との会話、自分のキャリアの捉え方など、日常のさまざまな場面にも変化が表れてくる方が多いようです。
コーチングの「雰囲気」を少し味わってみたい方へ
ここまでお読みいただき、「視点を移動する、という考え方はおもしろいな」と感じてくださった方の中には、
・実際のコーチングの場では、どんな雰囲気でやり取りしているのだろう?
・「クラスで学ぶときのイメージを、もう少し具体的に知りたい!
といったお気持ちをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
コーチングは、文章だけでは伝わりきらない「空気感」や「問いかけられたときの内側の動き」が大事な世界です。
実際に問いを投げかけられ、自分のことをことばにしてみると、頭で理解していたことが、身体感覚としてストンと落ちてくる瞬間があります。
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