「カラスは白い」と言われたら?人間関係をラクにする「認める」コミュニケーション

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もし誰かに「カラスは白だよ」と真顔で言われたら、あなたはどう返すでしょうか?
思わず「いやいや、黒でしょ」と否定してしまいそうになりますが、その何気ない一言が、相手との距離をじわりと広げてしまうことがあります。

この記事では、コーチングの基本スキルである「認める」という関わり方を通して、日々のコミュニケーションを少しラクに、あたたかくするヒントをお届けします。

突然の「カラスは白い」から見えてくるもの

「カラスは白だ」と言われたとき、多くの人は反射的に「そんなわけない」と言い返したくなります。 科学的にどうか、一般的にはどうか──頭の中で「正しさ」が一気に動き出すからです。

けれど、その瞬間、相手の心の中では別のドラマが進んでいるかもしれません。

せっかく勇気を出して話したことが、あっさり否定されたように感じて、「信じてもらえなかった」「ちゃんと聴いてもらえなかった」と、静かな寂しさやがっかり感が残ることもあります。

一度だけなら笑い話で済むかもしれません。 でも、似たようなやりとりが積み重なっていくと、「この人に言ってもどうせ否定される」と感じ、本音や弱音をしまい込むようになっていきます。

人間関係のすれ違いは、実はこんな小さな場面から少しずつ始まっているのかもしれません。

評価より先に、いったん受け止めるという選択

職場でも家庭でも、「あまり話してくれない」「本音が見えない」という悩みはよく聞かれます。

その背景には、相手の言葉を聞いた瞬間に「正しいかどうか」「良いか悪いか」をすぐに判断してしまう、私たちのクセがあります。

もちろん、仕事では判断が求められる場面もたくさんあります。 ただ、その前にほんの少しだけ「間」をおいて、まずは相手の感じたことや考えを「そう感じたんだね」と受け止めてみる。

このわずかな違いが、会話の流れと雰囲気を大きく変えてくれます。

コーチングでは、この「まず受け止める」関わり方を「認める」と呼びます。 同意したり賛成したりすることとは違って、「あなたはそう思っているんですね」と、相手の世界を尊重する姿勢そのものです。

同じ「カラスは白だよ」という一言に対しても、
「白く見えたんですね」
「どんなふうに白かったんですか?」
と返してみると、会話は別の方向へ進んでいきます。

このとき、カラスが白いか黒いかという議論は、いったん脇に置かれています。 大切にしているのは、「そう見えた」「そう感じている」という、その人の内側の世界です。

否定されずに受け止められたと感じたとき、人はほっと肩の力を抜きます。 「この人には話しても大丈夫そうだ」と思える相手にこそ、本音を打ち明けたくなるのだと思います。

日常の会話で試せる、小さな「認める」

「認める」と聞くと、特別なテクニックのように感じるかもしれませんが、実はとても日常的な振る舞いです。

相手の話を聴きながら、うなずいてみる。
「そうなんですね」「なるほど」と短い一言を返してみる。
印象に残った言葉を、そのまま自分の口で言い直してみる。

たとえば部下が「最近、ちょっと仕事がきつくて......」とつぶやいたとき、
「そっか、最近きついと感じているんだね」と返してみる。
それだけで、「ちゃんと聴いてくれている」という安心感がふっと生まれます。

同じことは、家族との会話でも起こります。
パートナーや子どもの言葉に、思わず「いや、それは違うよ」と言いたくなる場面こそ、「そう思ったんだね」と一度受け止めてみる。
ほんの一呼吸の違いで、相手の表情が柔らかく変わることがあります。

完璧にやろうとする必要はありません。
うまくできない日があっても、「あ、今ちょっと否定しちゃったな」と気づけるだけで、次の一言が変わっていきます。 その積み重ねが、少しずつ関係性の土台をあたためてくれるはずです。

「わかっているつもり」を、「自然にできる」に変えるには

多くの方が、「相手を否定しないほうがいい」ということ自体は、すでによくご存じです。
それでもなお、いざ目の前で何か言われると、つい反射的に「いや、それはね......」と返してしまう。人間らしい、ごく自然な反応でもあります。
だからこそ、コミュニケーションは本や記事を読むだけでは変わりにくいのかもしれません。

実際の会話の場で試してみて、相手の反応を感じたり、自分の感情の動きに気づいたりしながら、「この言い方なら使えそうだな」と体感を伴って身につけていくことが大切です。

コーチングを学ばれた方の中には、
「『認める』という言葉は前から知っていたけれど、演習で実際にやってみて、ようやく腑に落ちた」
という感想を寄せられる方も少なくありません。

「知っている」から、「つい自然にやっている」へ。
その橋渡しをしてくれるのが、体験の場なのだと思います。

もっと深く味わってみたい方へ

もし今、
「部下や家族との会話を、もう少しラクにしたい」
「相手の本音を安心して聴ける自分になりたい」
そんな思いがどこかにあるようでしたら、コーチングのエッセンスに一度触れてみるのもひとつの方法です。

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おわりに:本当に「白いカラス」はいた

ところで、「白いカラス」の話には続きがあります。 東京の上野動物園には、かつて本当に白いカラスが展示されていたことがあるそうです。
そんな事実を知ると、「カラスは白だ」と言った人に対して、「あなたは間違っている」と簡単には言えなくなってきます。

「そう見えた」「そう信じている」相手の世界を、そのまま認めてみる。
そこから始まる対話や気づきが、きっとあるはずです。
私たちの周りにも、まだ見えていない「白いカラス」が、そっと潜んでいるのかもしれません。 それを教えてもらえるかどうかは、こちらの聴き方次第。
「認める」コミュニケーションが、その扉を開くカギになってくれることを願っています。


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