Coach Interview - 長畑 吉洋 コーチ（前編）池袋校代表

　人材派遣会社の創業２代目として経営をしながら、人を相手にする現場で、コーチングをどんなふうに活かしているかをうかがいました。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーー セッション見学会に登壇されて、いかがでしたか？

　緊張感を持ったセッションができるのはいい機会だと思いました。ふだんは第三者に見られることがないのですが、こういう機会があると自分を客観的に見ることもできて、原点に戻れたような感じがしました。それと、見学会ならではのフィードバックがあることがよかったです。いつもセッションしているクライアントは仕事の分野やテーマがある程度決まっていたり、専門性ができあがっていたりする人たちが多いので、質問の意図が伝わりにくかった場面もあったようです。それを指摘していただいてよくわかりました。目の前のクライアントにとって必要な質問は何か、そして言葉の言い回しなど改めて大切だと感じました。

ーー 人材紹介の会社の２代目として会社を経営されているのですね。最近の仕事状況でどんなことを感じていますか？

　うちは販売職や営業職専門の人材紹介ですが、紹介するお仕事にはコミッションが発生することもあるので、説明員ではなく販売できる人の確保が難しいところがあります。ただの説明員はいらないとクライアントであるお客さんからは言われます。購入してくれるお客様とのやりとりの際の表情や楽しそうな雰囲気を伝えられるのは対面販売ならではの良さだと思います。それに加えて当然数値目標がついて回ります。目標値を超えたときは、ありきたりですが、達成感や自己効力感が上がり、お客様の「○○したい」に貢献できた喜びに、皆さんやりがいを感じるのだと思います。

ーー 説明員ではなくて販売できる人を増やすためにどんなことをしているのですか？

　単なる説明員にならないように、商品やサービスを活用してどうなりたいのか？どんな悩みを解決したいのか？その先には何があるのか？などが聴けるように、コーチングの、ありたい姿を描くことを、自分もスタッフさんも徹底的にやって実践するようにしています。これができるようになると、ある意味お客様との協働関係が生まれるのかもしれません。物販は、売ることとプラスαの関係性ができないとできません。例えばお客さまにとってベストな提案ができたり、時にはきちんとフィードバックができる人と認識してもらえれば、リピーターやファンが付きます。「あなたから買いたい」と言われるのは販売員にとって最高のフィードバックだと思っています。みんなそこを目指しています。

ーー それ以外ではGCSの池袋校を運営されていますが、そちらの近況はいかがですか？

　人材ビジネスという仕事柄、受講生の転職相談を受けたりもしますし、仕事に関するお悩み事の事例を出して説明したりすることがあります。社内のチームビルディングをどうするかとか。コーチングをどう使うかという現場での体験談が喜ばれています。例えば、コーチングを知らない部下にいきなりセッションをするのではなく、まずは徹底的に「認める」「聴く」をしたり、目標を共有することを意識してやり取りしたり。関係構築が出来始めたら「質問」や「フィードバック」の割合も増やしていくとか。コーチングができる場作りと関係作りができているかどうかも意識してもらっています。ティーチングとコーチングの使い分けも大事だと考えています。

ーー 受講生さんからの反応はいかがですか？

　経営者やマネジャーの方が後任育成をしていて、なかなかうまくいかない場合、「認める」「聴く」をまず意識すると、会社の方向性やプロジェクトの意図、目的を共有することができて、自分事のように感じてもらえるようになります。そうしてプロジェクトを牽引してくれるようになったと聴きました。なかには退職をするのを考え直してくれた部下もいるという話あります。あとは、数値目標と行動指標の意味づけを共有できて、振り返りがしやすくなったりしています。振り返る際の基準やものさしが明確になるとメンタル面も強くなって、必要以上に落ち込まず、どうやったらより良くなるかに意識を向けやすくなると思います。販売や営業の現場の例であれば、来客数、リピーター数を増やすには、アプローチの仕方や成約数確保のために何をしたらいいか、行動指標を具体的に一緒に考えることができるようになったという例もあります。