Coach Interview - 伊東奈緒 コーチ(前編)

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自分への問いかけと価値観の尊重

 働く人たちの思いを支援するために、会社を辞めて外から働きかけようと決意した伊東奈緒さん。独立してよりフットワーク軽く活動を広げているお話をうかがいます。
(聞き手:山上 晴美コーチ)

インタビュー

職場での問題をクラス内で解決

−最近独立してコーチングを主に活動されているそうですが、どんな活動が中心になっているのですか。

 今年1月からコーチとして独立しまして、フリーランスで個人のクライアントの方にセッション提供をしたり、社外の1on1を請け負っている会社に、業務委託で運営側として関わらせていただいたりしています。 あとは、新卒採用などの採用代行のお仕事をさせていただいています。

−それはお忙しいですね。

 忙しくしていきたいですね。

−そもそもどんなきっかけでコーチングと出会ったのですか。

 ボーク重子さんという、アメリカで活躍している方の特集を5年くらい前にテレビで観て、それでコーチングというものがあるっていうことを知ったのです。重子さんの娘さんが全米最優秀女子高生に選ばれ、その子育て方法を取り上げる番組でしたが、コーチとしてクライアントにセッションをされている様子も放映されていました。ちょうどその時、派遣会社で派遣登録に来られる方に仕事の紹介や、キャリア面談などをしていた時期で、限られた時間内でうまくヒアリングしないといけない。コーチングができたらいいな、いつか学びたいなと思っていました。

 そのあと次の外資系人材会社に転職したのですが、業務に対して人数が少なくみんなヘトヘトな状態でした。私も初めての人事部門に配属されて、その時にペアを組んだ上司とのコミュニケーションがうまくいかなくて悩んでいました。
 この状況を打開するために、コーチングを学んで改善にチャレンジしようと思ったのです。その時起こっていることは、何かしらの課題だと思って。
 毎日自分の怒りの感情とかストレスにとらわれていたので、このままでは何も変わらないと思いました。


−それでGCSへ行ったのですね。

 はい横浜校で学びました。最初、葉山コーチの体験講座を受けて、受ける前と後では頭の中というか感情の出方がすごく変わったので、やっぱり学びたいという思いが強くなってクラスAに申し込みました。
 その時は仕事が辛い時期だったので、仕事の課題を授業でセッションテーマとして持ち込んで、同期の方や葉山さんやアシスタントの方達と一緒に向き合ってもらったり考えてもらったり応援してもらったりという時間になりました。それが心の支えになって乗り越えることができました。

−会社で起きていることをすぐにクラスに持ち込んで、みんなで解決したというのは、誰にとっても有意義なことですね。そして、いわゆるスキルを身につけるということについて、伊東さんの中にはどんなふうに入ってきましたか。

 クラスAのところがすごくスムーズに自分の中に入ってきたので、その後、難しい面もありましたが、BやCも前向きに取り組み続けられました。新しいスキルを身につける楽しさもありました。学んでいる最中から職場で実践し始めて、その結果上司との関係性が良好になって職場環境も劇的に変わりました。

−それはすごい。例えばどんなだったのがどんなふうに変わったのですか?

 上司は、自分を評価する方とそうでない方とでは態度が180度変わる方で、感情を素直に顔や言動に出されるタイプでした。私にはそれが理解不能で、どうしてこんなふうに言われるのかとか、どうしても釈然としなくて。自分自身も仕事を通していろいろな方と会ってきたという自負があったのですが、まだこんな人がいるのかと。自分の視野の狭さとか弱さを見せられた感じがしました。
 それがコーチングを学ぶことで認められるようになったのです。こういう方なのだ。どうしてこういう言動になるのか、そのバックグラウンドに初めて興味を持てるようになれました。それで、何かしらの突破口を開こうと思って、仕事と関係ない話などしてみたら「実はわたし、こういうことが辛いんだ」と話してくれるようになりました。
 私は否定も肯定もしないで聞いていたら、話してもいいんだと思ったみたいでそれからガラッと関係性が変わってきました。
 私も変な遠慮がなくなったというか、その方を怖いと感じていたことも自分の弱さだと認められるようになっていい関係性が生まれました。

−上司が部下に心情を打ち明けるというのは、よほど心をオープンにされたという感じがします。

 そうですね。今思うとありがたかったと思います。そして、私が上司との関係性を築こうとしていたのを周りの方々も見ていて下さって、それが本部長も知るところになりました。本部長はその上司の気性を知っていたので、そこに対して私ががんばっているのを認めてくださって、人員を補強してくれるとか気遣ってくださいました。

−よかったですね。周りの方々もしっかりと見てくれていたのでしょうか。

 それまでは、何も言わずに黙々とやっていると見ていたと思いますが、自分のポジション外の業務も率先して動いたり提案したりしていると思ってくれたようでした。
 上司が変わったその頃は、GCSのクラスを卒業して認定を取った時期です。

−その後独立しようと思ったのは何かきっかけがあったのですか?

 当時のポジションが契約社員で、社員化のオファーもいただいたのですが、コーチングで法人研修のアシスタントもさせていただいたりしているうちに、社外からの関わり方もあると感じだしたのです。このまま社内で正社員になっても、研修やコーチングを発揮できる領域が低かったのでそこは離れて、外からコーチとして関わってみたいという思いが強くなってきました。それで独立を決めました。

−そうですか。伊東さんは人材系の業種に長く携わっていらっしゃるようですが、この分野の仕事を選んだのはどうしてですか?

 自分もキャリアに迷っていた時期があって、その中で仕事という生活の基盤を通じて人々の応援をしていきたいという思いがわいてきたので人材系の仕事に就きました。
 私は新卒で学習塾に6年半就職しまして、その後30歳でバーテンダーに転職しました。お酒が好きということもありますが(笑)、バーってお酒が入ることで肩書きなく誰もが同じように自分自身でいられる場所なので、その中で少しでも明日も頑張ろうと思えるような時間を提供したいと思って、思い切って転職しました。
 そこで、毎日つまらないというお客さまもいらっしゃるし、逆にイキイキとしていらっしゃる方もいらしてその違いはなんだろうと考えるきっかけができました。

−最初は学習塾で教育、次に飲食業で接客、そして人材業の世界へ。という流れで共通していることはありますか?

 当時はあまり認識していなかったですが、今改めて振り返るとやはり人に関心があって、人の可能性や思いを応援したいという気持ちは最初から変わらなかったと思います。お客様がどうして来ているのかとか、何を求めているのかと常に見るようにしていたました。何気ない会話の中でこの人は何を求めているのかとか、そういったところに意識が向けられるようになりました。そこが大事な経験だったと思います。

インタビュー

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Profile
伊東奈緒(いとう・なお)コーチ
GCS認定プロフェッショナルコーチ
大手中高受験学習塾に勤務後、30歳でバーテンダーへ転職。
様々な業界・年代層の方の接客を経験したことで、人が生きていく上で基盤となる「仕事」で、どう自己実現していくのかをサポートしたく人材業界の道を選択。
大手人材派遣会社での1500人以上のキャリア面談、大手外資系人材サービス会社人事部での新卒・中途採用業務など人材業界経験10年を経てフリーランスへ。
現在は、主に30~50代のビジネスパーソンのキャリアアップフォローをテーマに脳科学をベースにしたセッションと講座を提供。また社外人材による1on1を提供するYeLL(株)にてクライアント企業の管理職・リーダー層に「聴く」力UPを提供するサポーター兼運営側としても活動中。

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