Coach Interview - 稲垣 未来皇 コーチ(後編)

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新しい視点を取り入れて伝統的なものづくり産業を復活させたい

 社内コーチとしてコーチングを取り入れ、さらに理想の職場を目指している稲垣さんから、日本の伝統的な技術を継承するものづくり産業を支援したいという熱い思いをうかがいました。
(聞き手:山上 晴美コーチ)

インタビュー

人に貢献できる自分への自信

ーー 体験講座からクラスへ進んで稲垣さんご自身はどんな気づきを得られたでしょうか。

 自分としてはこれまでは会社の中だけが周辺の環境だったんですけれども、コーチングを学んで様々な方と共に学ぶ体験をしたり、異業種の方とのつながりができて、多くのスキルや情報を得たりあるいはコミュニケーションすることができたことが大きいです。横の繋がりみたいなものが得られて世界が広がったという感じがあります。

ーー 会社という枠から外に出たらたくさんのいいことと出会えたという感じなのですね。

 そうですね。それまでは閉じられていたというか、社内の人間関係か友人関係か、そういうコミュニティでしたから。そして自分に自信が持てるようになったということがあります。コーチングというスキルを身に付けて、それをクライアントさんと向き合って提供できること。サポートするということを通じてクライアントさんの人生を変えるきっかけをつくったりですね。人のために貢献ができる。自分はそういう存在であるということに自信が持てました。 これまでは会社で部下の育成とか課題の達成とかを得ることはできていたわけですが、人の人生を変える、そこに立ち会えるのはコーチじゃないとできないし体験することができないことです。それが自分の中で大きな自信につながっているのかなと思っています。

ーーコーチングのスキルで特に印象的なものは何かありましたか。

 それまで自己啓発のセミナーとかいろいろ行っていましたが、それと比べたら格段に楽しかったですね。わからないけどなんかワクワクして楽しい感じです。これを続けたらもっとこの楽しい感覚が得られるし、他の学んでいる人と会えて、楽しみながらコーチという資格も取れるのかなと考えました。
スキルとしては、傾聴についてはいろいろなセミナーで聞いていましたが、「質問する」ということが一番刺激的でした。それまでは、質問というのは相手にただ何かを聞くということでしたが、そこにいろいろな視点があって、過去の自分だったり今の自分にかける言葉だったり、あるいは親が今の自分を見たらどう言うかとか、自分が相手の立場だったらどうかとか。そんなことってそれまでは考えもしなかったことなので、いかに相手の事を主観的に見ていたかっていうことを学びました。とても刺激的でした。
あとはクラスD学んだ「コーチとしてこれから進んでいくための自分のブランディング」です。宣伝するために自分を客観的に見て強みを見つけ出すという、これも会社では考えてなかったことです。自分を売り込むということは。何々コーチと名乗るとしたら何にするかとか、名刺やパンフレットを作るとか、自分を客観的に見つめていったのは、このコーチングを学んで初めて行なったことでこれも非常に新鮮でした。

ーーそれで発信することの必要性を感じて、ホームページやブログなども作ってらっしゃるのですね。

 必要性を強く感じていますね。まだ具体的な成果にはなかなか結びつけられていないですけれども。他の人に対して発信をして自分を選んでもらうということの難しさを感じています。

ーーどんなことを指針に記事を書いているのですか。

 ものづくりを支援するコーチとして発信をしていこうとしているので、有益な情報を中心に発信しようと思っています。それは後継者の育成だったりという人材育成ですね。残念ながらものづくりの産業というのはどんどん下火になっている部分があるので、イノベーションで新たな販路開拓とか、そういうことをテーマにコーチングを提供できたらいいなと思っています。そこに関連するような情報を提供できたらいいと考えています。

ーーものづくりというのはどんな分野のですか。

 最近注目しているのは伝統ものづくり産業です。昔からある伝統工芸品伝統産業ですね。特に伝統工芸品は工芸品と言われるくらいで、実用品とは違って必要としない方には必要ではない。どんどん売り上げが減少しているのでそこをいかに日本古来の産業として復活させて、あるいは世界に発信して日本の良さを伝えていけるか。そこにコーチングでイノベーションを起こして活性化させていいきたいと思います。後継者がいないとその技術というのはなくなってしまうので維持し続けていくには、形を変えて現代の環境にマッチしたものに応用していくことも必要なのかもしれないなと思っています。

今製造業にいるのでものづくりについていろいろと感じています。一時期人件費の安い海外に行ったり、技術力を持った人が廃業したりしましたが、やはり日本の技術力というのは凄くて機械では測ることができないような感覚的なことを職人さんは持っているんですね。数ミクロンの違いとか。そういう日本古来の技術とか技能をなくすのはもったいないし、コストだけではなくて品質面は世界に誇れるので、そこは大切にしていかないと。
例えばものづくり産業で成功している企業というのは、今の時代にマッチしたものの作り方をしています。日本古来の技術と現代のデザイン力を融合させてより良いもので成功してる企業というのはあるんですね。あるいは今まで培ったものづくりの経験を活かしてコンサルティングをしている企業も成功していますね。中小企業にイノベーション起こすことで今以上に活躍ができるんじゃないかと。それこそコーチングの質問で気づきを促すとか、違う方向に転用したりひらめいたり、それでどんどん上向きになって言ったらいいです。
そういうところにフォーカスしてコーチングで貢献できたらいいなと考えています。

ーー文化を支えるという入り口から入って、ビジネスとして成り立たせていくことは素晴らしい考えですね。ものづくりに携わっている方々に今までとは違う視点で見てもらうということですね。何か具体的に思い描いていることはあるのでしょうか。

 メーカーで培った経験とスキル、それからこのコーチングスキルを組み合わせてコンサルタントじゃないですけれども企業を支えるような専属コーチという形で携わることができればいいかなと思います。今まで経験したことがその過程で役立つかもしれないですし。

インタビュー

刺激を受けて挑戦を続ける

ーー うかがっていると、コーチングの前と後では、職場環境の変化だけでなくご自身の将来のビジョンを描くなどとても大きく変わったように感じます。

 世界が広がりました。ホームページやブログを開設したりSNSで発信したり、おそらく会社勤めをしているだけだったら考えなかったでしょうね。そういうところが大きな変化です。スキルを身につけて自分に自身がもてて、他の人に提供してその人が変わるというようなことができるんだったらそれをどんどん広めていきたいという思いがあります。そういうことが新たに生まれましたね。

ーー そんな、今までとは違うご自分を見てどんな感じがしますか。

 私はどちらかというとプロセス志向なので、なかなかイメージというか感覚的に考えるということをしにくいタイプなんです。なのでコーチからそういう観点での質問をされると脳がすごく刺激されてアイデアとかイメージが出てくるのを感じています。
計画的と言うか理詰めで考えているってことがわかりましたけれど、楽しいのはやっぱりイメージですよね。絵が描けてその先がこうなっているということを考えるのは楽しいと思います。そういうことを知ることができたし、自分が発信したことを見て人はどう思うかということを考えたりするので、そういう意味では自分を見つめ直す機会だと思います。
例えばプロフィール一つとっても、どういうところに共感してもらえるかとか。どういうところが気になるから話しをしてみたいと思うかとか。そういうことを考えるのが面白いし、それで反応が得られたら自分がやってきたことがよかったんだって直接的な手応えを感じることができますね。

ーー 手応えがあるのは嬉しいことですね。

 嬉しいですね。自分自身もどんどん変わっていくしもっと挑戦していきたいです。今は働きながらなので制限はあるんですけれどもその中で何ができるかを考えてできるだけ機会を広げて多くの方に成功体験をしていただきたいです。メンターコーチと話をしていて、3年後ぐらいにはものづくりコーチとして起業支援をすることを目指しています。

ーー それは楽しみですね。最後に後輩の皆さんにお伝えすることがあるとしたら。

 コーチの資格を取ってからいかに経験を積むかっていうことですね。いろんな人と出会って刺激を受けるってことが大事かなと思います。学んで終わりではなくてそこからスタートですね。

ーー 今日は「刺激」という言葉を何度か聴きました。

 刺激を受けてそこから何かが生まれる感じがします。

ーー インスパイアされる感じですね。日本のものづくり文化が継承されることを願っています。ありがとうございました。

インタビュー

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Profile
稲垣 未来皇(いながき みきお)コーチ
GCS認定プロフェッショナルコーチ
国際コーチング連盟認定コーチ(ACC)
英国ThinkBuzanマインドマッププラクティショナー
毒物劇物取扱者
大学卒業後、メーカーにて開発職、品質管理職、製造職、品質保証職を経験。また生産現場に在籍しながら労働組合執行部に所属し、協議会リーダー、組合副執行委員長を経験。コーチングとの出会いは労働組合執行部在籍時に社内コミュニケーション改善のための教育研修を企画していたとき。コーチングの奥深さ、面白さに惹かれ本格的に学び始める。またマインドマッププラクティショナーの資格を取得。セッションごとに内容をまとめたマインドマップをクライアントに提供し好評を得ている。労働組合研修、コーチング社内セミナー、新入社員研修を実施。現在、20名の部下に対しコーチングスキルを活かしたものづくり人材の育成、指導を行っている。

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