Coach Interview - 陰山加奈 コーチ（後編）京都校講師

　ピアノの先生として長く活動している陰山さんは、レッスンに活かすために始めたコーチングで生徒の驚きの変化を実感。自分自身も以前は考えられなかったようなチャレンジを始めたそうです。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーー 楽しそうですね。ピアノレッスンからコーチングが始まって、話し方講座も始めて、やりたいことの道をどんどん開いているように感じます。ご自分の変化をどんなところに感じますか？

　コーチングを学んでから物事を肯定的に捉えられるようになりました。それがすごく大きいです。基本ネガティブだったのです。近しい人からそれを言われたこともあります。「私なんて」とか「無理無理」とか普通に使ってましたから（笑）。

　今の自分が認められないっていう学歴コンプレックスとかもそうですね。短大を卒業したあともずっとピアノのレッスンに通っていて、周りからはそれが素晴らしいと言われていたのですが「いやいや、４年出た人には勝てない」って思っていました。

ーー それが変化して肯定的に受け取れるようになったのですね。日常ではどんなことが起きているのですか。

　今は離婚しているんですが、その頃は結婚していてお姑さんも一緒に住んでいました。結婚してすぐの頃にちょっとしたことがあって、それ以来私はずっと腹に一物抱えていたんです。でもお義母さんは、お友達から「お嫁さんが一緒に住んでくれてるの？それはいいね」って言われるって。きっとお友達に「うちの嫁はいい嫁だ」と言ってくれていたんだと思います。

　それなのに私は小さなことにこだわっていて、１０年間ずっとネガティブな方にフラッグを立てていたのです。でもコーチングを学んでからは急変して、態度ががらっと変わって、変わり過ぎたんでお義母さんに聞いてみました。
　「私変わった気がするんですけど、気持ち悪くないですか？」って。
　そうしたら「前も話しにくかったわけじゃないけど、今はさらに話しやすいよね」って、その言い方にガツンと来ました。
　「ああ、この人やっぱりいい人だった」って。やさしいし、心がめちゃくちゃ広いお義母さんだったんだって。毎日顔を合わせて、だんなさんよりも一緒にいる時間が長かったのですが、本当にすごく暮らしやすくなりました。
　そのあと、結局離婚してしまったんですが、お義母さんとはたまに連絡をとりあったりしています。

ーー 近くにいる人との関係が変わるのは大きいですね。

　レッスンに来ている子どもの保護者との関係もすごく楽になりました。例えばレッスンに対して「こんなレッスンしてるの」って思われたらどうしようとか。苦情言われたらどうしようとか。そっちしか考えてなくて、頭を下げることも苦手だから、お願いするのがひと苦労。でも今は、発表会とかイベントをするというと、保護者の方から「何かお手伝いできることありますか？」って。この変化はなんだろうって思っています。

ーー ピアノは好きだからこそ続けているのだと思いますが、今の陰山さん全体を見渡すと満たされ具合みたいのはどんな感じでしょうか。

　やっとピアノが楽しいと思えて来たので、だいぶ満たされていると思います。２０代の頃はピアノを教えていても気負うだけでした。仕事になったら苦しくて、どういう演奏をしたいのかとか、失敗しないようにとか。今は、「この音楽だからこういう気持ちで弾けたらOK」って、演奏することが楽しくなりました。

ーー コーチングに関しては、プロのコーチとしてというより、レッスンに取り入れるという目的で始めて、それが思わぬご自分の変化にも繋がったのでさらに広めたくなったということですね。

　そうです。最初はレッスンのためにと思っていましたが、生徒さんの変化がすごかったのでプロコーチを目指して、そのままだと関わる人が少ないので、認定を取って講師の認定も取って、１人でも多くの方にコーチングを伝えたいと思いはじめました。勉強している間に生徒の変化を目の当たりにしたので、ピアノの先生がみんなコーチングを知っていたらいいのにって思います。

ーー 今、まさにこれからコーチとしてやっていくという方にはどんなことを伝えたいですか？

　私は始めは、コーチ業をしたいのにボイトレしたり、ピアノ教室をやりながらコーチングをしたりしていました。それでティーチングだけではなくてコーチングを使うことが本当に効果的だとわかりました。ピアノも話し方講座もコーチングと融合させることができるので役立てています。
　人に言われたことですが、これからコーチとしてやっていこうという方は、「今、必要とされていることからやればいい」のだと思います。コーチングは何にでも使えますから。

ーー 「今必要とされていることからやる」って、意外に気づかないかもしれないけれど大事なことですね。陰山さんがこれからやっていきたいことや、もっとこうなったらいいと思うことはありますか。

　チャレンジが容易になったので、可能性をせばめないで、やりたいことはどんどんやる自分でいたいと思います。ピアノしかやっていなかった20代の頃の自分が見たら驚くと思いますけど。ピアノは現役でも教えていきたいけれど、将来は先生を雇って、教室を経営する側に行きたいと思います。
　話し方講座の方は、今は知り合いしか参加していないので、目下の目標はそれ以外の人にも受けてもらうことです。現役で話すということを何でつないでいくかってことも考えています。司会業以外にはどんなことがあるかなとか。

ーー 陰山さんの、気づきから大きな変化までのお話、こちらにも気づきをいただきました。ありがとうございました。