「わからないことがあったら、聞いてね」はなぜ効果がないのか?
「わからないことがあったら、聞いてね」という言葉は、一見すると柔軟で支援的なコミュニケーションを促しているように思えますが、実際にはその効果が限定的であることが多いです。
このフレーズが効果を発揮しない主な理由は、相談する側の心理的な障壁です。この時期、新入社員や中途社員としても新しい環境で仕事を始めると、「わからないことがわからない」ということが起きています。自分が何を理解していないのか、具体的にどの点で困っているのか混乱すると、何を質問していいいのか何を確認したらいいのか、必要な情報を事前に整理することすらできません。
さらに、質問すること自体が、自らの「無知」を露呈することにつながると感じるため、質問を控えてしまう傾向にあります。
また、パワーダイナミクスや文化的背景も影響のひとつになるでしょう。上司やリーダーへの質問が、自分の評価に影響を与える可能性があるなら、質問することがリスクだと思い込みがちです。
「わからないことがあったら、聞いてね」という大まかな声掛けではなく、効果的なコミュニケーションを実践するためには、より具体的なアプローチが必要です。例えば、仕事を任せたけれど相談してもいいことを伝えたい場合は、「進め方に疑問や不安を感じたら教えてください」「理解が難しいと感じるものがあれば、遠慮なく共有してください。」などの具体的な表現を意識してみましょう。
「わからないことがあったら、聞いてね」に限らず、曖昧な表現として代表的なものには、「ちゃんとやっておいてね」「なるべく早く」「とりあえず進めてみて」などがありますが、これらに起因する誤解や非効率は意思疎通の妨げになります。「わかるだろう」とういう甘えは捨てて、相互にとって効果的なコミュニケーションを実践していきましょう。それらの改善策は、円滑なコミュニケーションだけでなく、職場での生産性を生み、ストレス軽減にもつながっていくはずです。