部下の「大丈夫です」は本当に大丈夫なのか?
上司が部下に対して「大丈夫か?」と尋ねて、部下が「大丈夫」と答えたとしても、実際には「大丈夫ではない」というサインが隠されていることがあります。なぜ部下は「大丈夫ではない」のに「大丈夫です」と答えるのか、いくつか理由が考えられます。今回は代表的な3つについてご紹介します。
①部下が上司に対して強がりや自己保身をしたい場合、「大丈夫」と答えることがあります。
部下は、自身の弱さや問題を認めたくない、評価や信頼を損ないたくないという気持ちから、本当の状態を隠す可能性があります。そんなタイプには、「現在の進捗状況は何パーセントですか?」や「頼んでいる仕事の中でどの部分が完了していますか?」など、部下のできている部分に焦点を当てて聞いていると、どの程度進んでいて、何が進んでいるのか理解できるでしょう。
②部下が周囲への負担や迷惑をかけたくない場合、または競争意識から自分自身を強調するため、「大丈夫」と答えることがあります。
部下は、仲間や上司の期待に応えようとしてプレッシャーを感じているかもしれません。このような状況下で部下が本当の状態を表現できないと、問題は放置され、より深刻な状況に発展する可能性があります。負担や迷惑をかけたくないタイプは、上司の忙しさを考えて時間を奪うことを躊躇する人もいるため、大丈夫かどうかを質問するより、「最近の状況を聞きたいので●●分時間をもらえるかな?」など、安心して話せる環境を整えてから状況を確認してみましょう。
③部下が自己評価や自己価値感に自信を持っていない場合、「大丈夫」と答えることがあります。
部下は、自身の能力に不安や不足を感じているからこそ、「大丈夫」だと伝えたのかもしれません。自信がないことを認めてしまうと自己肯定感を傷つけるのではないかと考えて、それを避けたいと思っている可能性もあります。上司は、部下に関心を示し、部下を把握するために質問しますが、部下自身の自己評価が低いと上司から責められていると感じ、具体的な部下の状況を引き出すことができません。そんなタイプにはに、前向きになるようなフィードバックや声がけをしてみましょう。部下が安心感を感じた上で、自分の状況を話してくるでしょう。
部下が「大丈夫」と答えた場合でも、言葉の裏に隠れた真の状態や感情を察知する能力を持つと、コミュニケーションが円滑に進み部下の本音を引き出すことができます。そのために、部下が本当の自分を表現できる環境を提供しましょう。その環境を提供することで、本来共有すべき問題解決やサポートの手段を考え、部下の成長や成果を出すことにつなげることができるはずです。