「ほめる」か「厳しくする」かで迷う上司へー部下が自走し始める、2つのモチベーションの使い分け
「ほめて育てるといい」と分かっていても、現場では迷いますよね。
ほめたいのに言葉が見つからなかったり、ほめると甘くなりそうで不安になったり。
反対に、厳しく言うと動いてはくれるけれど、関係がギクシャクしてしまう気がする-そんな揺れは、多くの上司が経験しています。
この迷いをほどくコツは、「ほめる/厳しくする」を気分や性格で選ばないことです。
部下のやる気を"2種類のモチベーション"として整理してみると、状況に合わせて声のかけ方が決まりやすくなります。
短期は「整える」、長期は「育てる」
人が動く理由はいつも同じではありません。
ざっくり言うと、行動を生むエネルギーには2つあります。
ひとつは、焦りや不安を減らしたいから動くタイプ。
もうひとつは、期待や可能性を感じて前に進みたくなるタイプです。
前者は短期の成果に強く、後者は長期の成長に効きます。
どちらが正しいという話ではありません。
「いまは立て直しが先か」「いまは伸びる土台づくりか」を見極めて、切り替えるのがポイントです。
立て直したいときは、厳しさを"整える言い方"に変える
締切が迫っていたり、ミスを防ぎたい局面だったりすると、どうしても言い方は強めになりがちです。
こういうとき、ある程度の厳しさが即効性を持つことは確かにあります。
ただ、同じ強さを続けると、部下は疲れてしまいます。
「怒られないために動く」状態になり、主体性が少しずつ削られていくこともあります。
だからこそ、厳しく伝える必要があるときほど、"否定"ではなく"整える"方向で言葉を組み立ててあげるのが安心です。
コツは順番です。
まず「何を守りたいのか」を伝えます。
次に「次に何をすればいいか」を具体的に示します。
最後に「ここは一緒に見るよ」と支援の範囲を添える。
この順番があるだけで、厳しさが"攻撃"ではなく"立て直しの案内"になります。
伸びて欲しいときは、「可能性が見える関わり」を増やす
もうひとつのモチベーションは、「期待されている」「自分にもできそうだ」と感じたときに生まれる、前向きな推進力です。
これが育つと、部下は"やらされ感"から抜けて、自分から動きやすくなります。
ここで大切なのが、いわゆる「ほめる」なのですが、ほめ方には少しコツがあります。
結果だけでなく、そこに至るプロセスを言葉にしてあげることです。
「よくやったね」ももちろん嬉しい言葉です。
でも、部下が本当に伸びるのは、「どこがよかったのか」「何が効いていたのか」を具体的に受け取れたときです。
たとえば、「事前に論点を整理していたのが良かったね」「相手の反応を見て言い方を変えていたのが伝わりやすさにつながっていたよ」というように、行動の中身を丁寧に言葉にします。
そうすると、ほめられて終わりではなく、「次も同じようにやってみよう」「もう一段工夫してみよう」という気持ちが自然に育っていきます。
背伸びした挑戦で止まりそうなときは、「嬉しさ」を先に見つける
人が成長するときは、少し手の届かない挑戦が必要になります。
ただ、その分だけ怖さも出ます。
すると上司はつい、「足りない点」を埋めさせたくなり、改善点をたくさん伝えたくなります。
もちろん改善は大事です。
でも、挑戦の途中で足が止まりそうなときに効くのは、不足の指摘より先に「その挑戦が叶ったら、何が増えるか」を一緒に見つけることだったりします。
たとえば、こんな問いかけです。
「この挑戦で、何を手に入れたい?」「できたら、どんな嬉しさがある?」
"手に入るもの"が言葉になると、苦しい局面でも踏ん張りが効くことが多いんです。
分かっていても難しいのは、「会話の中で言葉が出ない」から
ここまでの話は、読んだその日から試せる内容です。
それでも現場では、「言い方が固くなる」「質問したら会話が止まる」「厳しく言ったあと空気が重くなる」といったことが起きやすいものです。
これは意志の問題というより、会話には"型"があり、さらに人それぞれ"クセ"があるからです。
理解できても、実際の会話の中で自然に出せるようになるには、少しだけ練習が必要になります。
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