「聴く」にまつわる4つの誤解
ハーバード・ビジネス・レビューEIシリーズの『マインドフル・リスニング』序文で、
エール株式会社の取締役・篠田真貴子氏がご本人の経験の中から、聴くスキルの誤解について紹介されています。
4つの誤解を紐解くと、
1つ目は、「聴く」と「従う」は同様の意味に捉えられがち。相手の話しを聴くということは、相手の主張を受け入れなくてはいけないという刷り込みがある。
2つ目は、「聴く」は受け身な行為だから対話のコントロールができない、会話の主導権や関係性の主導権を握れない。
3つ目は、「聴く」ことは知的価値が低い。発言や発信、話すことこそが知的に価値がある。
最後は、「聴いてもらう」ことは自分のメンタルが弱っているときにのみ必要である、
愚痴を吐き出させてもらう時に必要なものであり、悩みや課題はひとりで解決することが自立である。
「聴く」スキルを使うことは、ご存じの通り、相手の主張を必ずしも受け入れなくてはいけないものではなく、
主導権が握れないわけでもなく、メンタルが弱っている時だけのものではありません。
職場の中で信頼関係を構築するために必要不可欠なスキルですし、
相手の自己肯定感を高めたり、相手が自分自身を客観的に捉えることにも役立ちます。
また「聴く」という行為は、組織やチーム内において異なる意見を表明しても
安全であるという状態(心理的安全性)を保つのにも有効です。
その「聴く」というアプローチには、パッシブ(受動的)とアクティブ(積極的)があります。
パッシブリスニング(受動的)は、基本的に相手が話すこと中心で聴くことを言います。
うなずきや、相槌などがそのアプローチに該当します。
コーチングを学んでいない方でも管理職研修やリーダー研修等で学ぶ
コミュニケーションの基本スキルとして学んだことがある方は多いのではないでしょうか。
銀座コーチングスクールでは「認める」スキルとしてお伝えしています。
うなずきや相槌だけでも、自分の話を聞いてもらえている安心感や信頼感を得ることはできますが、
さらに「聴く」ことの効果を発揮するには、相手の話しを積極的に引き出したり、
話し手自身が自分で話していることを聴き自分を客観的に見つめることが大切です。
そこにはパッシブではなく、アクティブリスニング(積極的)を意識するといいでしょう。
具体的には、相手の話しを繰り返してみたり、まとめてみたり(要約)、言い換えしてみたり、
相手の気持ちに共感を示すことです。
「そうかぁ、●●だったんだね。」
「なるほど、●●だったんだ。」
「お、それは相乗効果(要約)ですね。」
「メリハリ(言い換え)という感じかな?」
「そんなことがあったら、混乱しちゃうかもね」
「そう言われたら、不安に感じちゃったりするね」
このような「聴き方」は、聴き手側が評価の気持ちを持ちながら聴いていたり、
解決をイメージしたり、自分のアイディアが先行してしまうと、
なかなか言葉が出てこなくて、アプローチする時に難しいと感じるかもしれません。
相手の気持ちに理解を示すことも、いつも思考が先行してると言葉にしづらいこともあるでしょう。
やりづらいからといって、そのままにせず、
「聴く」を試して、心理的安全性が高く、強い組織力を育ててみませんか?