相手との間に安心感を築く

コーチング無料体験講座-1.5時間でコーチングの基礎を学び、スキル演習を体験

人は、聞き手に安心感を持つ(不安がない)と、本音で「話す」ことができます。クライアントがコーチに対して安心感を持っていれば、クライアントは、本音=本当のことを話しやすくなり、コーチはクライアントからよりたくさん引き出すことができるのです。

相手との間に安心感を築く

コーチングのキモは、相手にたくさん話させ、相手の中にあるものをできる限り引き出すことです。そのためには、安心して何でも話せる雰囲気や環境を整備することが求められます。それが十分なコミュニケーションを生むのです。


あなたが部下とコーチングセッションをするとしたら、いきなり質問攻めにすることは避けるべきです。その事前段階として、相手との間に安心感を築くことが必要だからです。


人は、聞き手に安心感を持つ(不安がない)と、本音で「話す」ことができます。クライアントがコーチに対して安心感を持っていれば、クライアントは、本音=本当のことを話しやすくなり、コーチはクライアントからよりたくさん引き出すことができるのです。


このクライアントのコーチに対する安心感や解放感、信頼を「ラポール」といい、コーチングがより機能するのに必要な要素となります。そして、クライアントに、コーチに対して「ラポール」を抱かせることを「ラポールを築く」と表現します。それが、セッションをスタートした最初の段階で行なうべきこととなるのです。


「ラポール」を築くには、コーチングの基本スキルのうち、「認める」「聴く」ことをしっかり行なうのが基本です。十分に認め、聴いてもらえるから、安心して話そうという気になるのです。


安心して話せる環境づくりを考えるには、あなた自身の「安心して話せた」という経験を思い起こしてみるとよいでしょう。その時にはどんな条件・環境がそろっていたかを考えてみるのです。


逆に、あなたの部下は、あなたに対して安心して話すことができているかどうかを考えてみることも大切です。建前でなく、本音のコミュニケーションがどこまで出来ているでしょうか。あなたの表情や態度、言動などが影響しているはずです。


部下に安心して話してもらうために、改善すべき点はないか、素直に反省してみることも、上手にラポールを築けるようになるために不可欠です。いくつか改善すべき点が思いつくのではないでしょうか。


例えば、セッションをする際の物理的な位置関係も、心理的に大きな影響を与えます。机をはさんで正面から相手と相対するのは、どうしても緊張感を生みがちです。90度の角度で「ハの字」形に、寄り添うような感じの位置関係の方が、ずっと安心できるでしょう。


「認める」「聴く」といったスキルを使う前提の問題として、「安心」や「信頼」といったものを確実に損ねる要因があることに留意してください。それは、相手が話したことについての守秘義務を守るという点です。


信頼関係をぶち壊す最も簡単な方法は、秘密を守らないことなのです。どの世界でも、口の軽い、秘密を守れない人間は信用されることはありません。


上司・部下として行なうセッションのテーマは仕事関連のものが中心となりますが、「聴く」「質問する」といったスキルを使っていくと、相手の個人的なプライバシーに関わる問題へも話が発展していくことは、しばしばあるものです。


本音のコミュニケーションという点では、いくら仕事のためのセッションとは言え、むしろその方が望ましいのです。しかし、このプライバシーに関わる問題が、自分の同僚などにぺらぺらと話されてはたまりません。


また、物理的環境という点でも、プライバシーを確保することは重要です。あなた自身は守秘義務を守る気持ちがあるとしても、部下との会話が周囲の社員に聞こえてしまう状況では、全く意味がありません。周りに聞かれることが気になれば、本音で話すどころのさわぎではないのです。セッションのための会議室などの確保は必要です。


もう一つ、ラポールを築くのに大切な原則があります。それは、あなたもあなた自身についてのことを話すことです。相手にしてみれば、一方的に質問攻めされるのは居心地が悪いものです。


人間の心理には「返報性の原則」があって、あなたが自分のことを話せば、相手も自分のことを話そうという気持ちを生みます。特に部下との会話では、自分の若い頃の失敗経験などを話すことが、相手の気持ちをリラックスさせ、コミュニケーションを促進することになるでしょう。


あなたの体験や考え、思い等を「自己開示」することで、部下はあなたのことを理解したり、共感を感じたりします。このこともまた、ラポールを築くのに不可欠なのです。


このように、安心感を築くためには、いくつもの留意点があるのですが、コーチは相手にとって100%味方であるとするコーチングマインドが土台として非常に重要です。コーチングマインドを発揮することを考えれば、何をするべきか、おのずから明らかになってくるでしょう。


部下が自分に対して、安心して話せるような状態になっているかどうか、今すぐチェックしてみて下さい。やる気になれば、すぐに改善できます。それによる部下の変化にも、驚かされることでしょう。

コーチングについて、ひととおり学ぶことができる、無料メールセミナーのご購読をお奨めします。

GCSコーチングメールセミナー