コーチングの基本スキル−フィードバックする
「フィードバックする」のポイントは、相手の話を聴いて、感じたことを感じたまま伝えることです。また、相手が話していない感情や思いの部分を感じ取り、伝えることです。人間は時として、口にしていることと、実際に思っている内容とが食い違うものなので、それを感じたら、正直にそれを伝えることも、「フィードバックする」ことです。
コーチングの基本スキル-フィードバックする
コーチングの基本的なスキルとしては「聴く」と「質問する」がよく知られていますが、コーチングに特徴的なスキルとして「フィードバックする」というスキルがあり、相手に「気づき」をもたらすのに非常に有効です。
コーチングでは、相手に自分で考えることを促し、相手の中にあるものを引き出していきます。そのことにより、時として非常に重要な「気づき」が生まれたりもするのです。「気づき」は、コーチングがもたらす重要な価値であり、それを効果的に生むことができるかが、コーチングの成果を左右します。
今まで学んで来た「認める」「聴く」「質問する」のスキルを駆使し、相手に存分に話させることにより、相手の中に「気づき」が生まれます。さらに別の角度から「気づき」をもたらす重要なスキルとして、「フィードバックする」というスキルがあります。
「フィードバックする」とは、コーチが相手から感じたものを伝えるスキルです。そのことにより、自分(相手)自身では見えていないことに意識が向き、その結果、「気づき」が生まれるのです。
相手に対するポジティブなフィードバックは励ましになります。また、ネガティブなフィードバックであっても、信頼関係をベースに正直に伝えることで、より深いコミュニケーションを図ることができるようにもなるのです。
「フィードバックする」のポイントは、相手の話を聴いて、感じたことを感じたまま伝えることです。また、相手が話していない感情や思いの部分を感じ取り、伝えることです。人間は時として、口にしていることと、実際に思っている内容とが食い違うものなので、それを感じたら、正直にそれを伝えることも、「フィードバックする」ことです。
コーチはクライアントにとって、鏡のような役割を果たすと考えると、わかりやすいかも知れないですね。自分に見えていないものを指摘してくれるからこそ、クライアントはコーチに価値を感じるのです。
上手に「フィードバックする」ことができるためには、前提として、「聴く」スキルをしっかりと身に付けておく必要があります。しっかりと「聴く」ことなしに、心の中に感じるものが生まれることはありません。
また、時には勇気が必要となります。こんなことを言ってしまってよいのだろうか、相手に失礼ではないだろうか、嫌われてしまうのではないか、相手を傷つけてしまうのではないか、といったことも心配になるでしょう。
そのあたりは注意が必要ですが、「認める」「聴く」をしっかりと行ない、信頼関係を築いておけば、「案ずるより生むがやすし」です。当然のことながら、相手に敬意や思いやりの気持ちを抱き、相手の感情を共有しておくことは不可欠です。コーチングが機能するための条件である「自己基盤」も、コーチとして確固たるものが求められます。
「フィードバックする」スキルの具体的な方法は、「Iメッセージ」を使うことです。私には、~のように「聞こえます」「見えます」「感じ取れます」「受け取れます」「伝わってきます」といった言葉の表現を用います。「私(I)には」で始めるから「Iメッセージ」という意味です。
例えば、次のような表現があります。
「君が本当にやりたいことは、別にあるように聞こえるのだが。」
「あなたが心から楽しんでいることが伝わってきますよ。」
「僕には、君がまだベストを尽くしていないように感じるよ。君はもっとできるはずだと思っているよ。」
「君が部下のことを心から大切にしているのが、伝わってくるよ。」
少しひねりを入れると、次のような表現も可能です。
「話を聴いていると、あまり自信がないように感じ取れるのだが、どうだろうか?」
コーチングでは、まず相手の話をしっかりと「聴く」ことが基本です。そのため、「フィードバックする」前に、次のような前置きをした方が、相手の心の準備もできるのでよいでしょう。
「聴いていて感じたことを伝えてもいいですか?」
このように「フィードバックする」スキルを使い、ズバリとあなたの感じたことを伝えることで、相手はさまざまなことに「気づく」はずです。自分では意識していなくても、相手に自分がどう見えているか(聞こえているか)がわかるし、自分自身が本当は何を感じているのかについて「気づく」こともあります。
ポジティブなフィードバックは、自尊心を高め、励ましにもなるでしょう。ネガティブなフィードバックも、ありのままの自分自身を知る機会となり、それが「気づき」となり、改善行動が促されるのです。
部下との会話で、ぜひ、あなたが感じたことを素直に伝えることをしてみてはどうでしょうか。そして反応を確かめてください。信頼関係に基づいて「フィードバックする」ことの効果を実感できるでしょう。
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