コーチングの5つの基本スキル
対象者のパフォーマンスの向上を目的とするコーチングでは、さまざまなスキルを使って、「セッション」を組み立てていきます。コーチングスキルは「道具」ですから、それを上手く使いこなしていくためには、しっかりと「目的」を踏まえて使うことが大切です。※1.5時間でコーチングの基礎を学び、スキル演習を体験できる「コーチング無料体験講座」
コーチングの5つの基本スキル
対象者のパフォーマンスの向上を目的とするコーチングでは、さまざまなスキルを使って、「セッション」を組み立てていきます。コーチングスキルは「道具」ですから、それを上手く使いこなしていくためには、しっかりと「目的」を踏まえて使うことが大切です。
今までの回で、コーチングの効用やセッションの構造について説明してきましたが、セッションそのものは、コーチングの各種スキルを使い組み立てていくことになります。今回は、コーチングセッションを運営するための基本スキルについて解説していきます。
まず、セッションを効果的なものとするためには、次のポイントをしっかりと押さえる必要があります。
・クライアントが安心して話せるようにする
・クライアントからたくさんのものを引き出す
・クライアントの行動を促す
上記をしっかりと実現するためには、GCS(銀座コーチングスクール)では、次の5つの基本スキルを教えています。
(1)認める
(2)聴く
(3)質問する
(4)フィードバックする
(5)リクエストする
たった5つと、非常にシンプルですが、それぞれ奥が深いものがあります。これらを十分に使いこなすことで、コーチングのほとんどの場面に対応が可能となります。それぞれのスキルの意味と目的は、次のとおりです(スキルごとの詳しい説明は、次回以降に解説します)。
(1)認める
「相手の存在をしっかりと認める」ことです。このスキルを使うことで、安心して話せる環境づくりが図られます。
(2)聴く
「真剣に集中して聴いてもらえる」という経験は、意外とありそうで、ないものです。これもまた、安心して話せる環境づくりにつながります。聴かれることで、人はさらにどんどん話していきたくなります。その結果、クライアントの中にあるものが、どんどん引き出されていくのです。※「コーチング無料体験講座」では、「聴く」スキルを体感いただけます。
(3)質問する
「聴く」の引き出す効果をもっと高めるために、ポイント毎に質問をしていきます。話が途切れたとしても、質問を投げかけることで、さらにどんどん引き出していくことが可能となります。クライアントの視点を変えるような質問をすれば、新たな「気づき」を起こすことにもつながります。※「コーチング無料体験講座」では、「質問する」スキルを体感いただけます。
(4)フィードバックする
自分のことを客観的に見るのは、なかなか難しいものです。それでコーチは時々、クライアントがどう見えるか、フィードバックをします。「気づき」を引き出すという点で、強力な効果を発揮します。
(5)リクエストする
「○○してください!」といった言い回しで、ポーンとクライアントの背中を押すのがリクエストです。クライアントを大きく飛躍させるきっかけにもなります。
なお、「引き出す」という表現を何度も使ってきましたが、この言葉は、コーチングの世界ではよく使われるものです。クライアントの中にあるもの、時にはクライアント本人が忘れているようなことを引き出すのが、コーチの存在価値でもあるのです。
さて、これらの5つスキルを使うにあたって注意すべき点があります。それは、スキルは口先だけのテクニックではないということであり、それぞれの目的を踏まえて効果的に使わなければ、上手く機能しないのです。
例えば、「クライアントが安心して話せるようにする」には、やはりお互いの信頼関係がベースに必要となります。それがなければ、どのようなスキルを使っても、上滑りするだけとなるのです。
また、「クライアントからたくさんのものを引き出す」には、コーチのクライアントとの関わり方が非常に大切となります。「引き出す」側であるコーチは、クライアントの中に「必ず引き出されるものがある!」と信じていないと、引き出すことはできません。その気持ちのことを「コーチングマインド」と呼びます。
「クライアントの行動を促す」上でも、「きっと出来る!」という気持ちがコーチ側にないと、腰砕けになってしまいます。さらに、コーチが自ら、行動を起こした「成功体験」があることも必要となります。
コーチングのセッションは、まさに真剣勝負、魂と魂のぶつかり合い、といった様相を呈します。中途半端な駆け引きや、生半可な言葉では、本気で行動するには至りません。そのようなセッションを運営するには、コーチの「自己基盤」がしっかりしていることが不可欠です。
コーチングセッションは、各種スキルを組み合わせて用いることで構成しますが、スキルを下支えする「信頼関係」「コーチングマインド」「自己基盤」を伴ってはじめて、コーチングが機能する、と考えるべきなのです。