コーチングによるコミュニケーションの実際とは?

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コーチングとは、「聴く」と「質問する」の2つのスキルを駆使して対象者自身の持つ答えを引き出していくコミュニケーションスキルです。コーチングは、経営者や社員のパフォーマンス向上のために極めて有効だと認識されるに至っていますが、実際の経営の現場ではどのように役立つのでしょうか。

コーチングによるコミュニケーションの実際とは?

上司がどのようにコミュニケーションを取るかによって、部下は有能にもなれば無能にもなります。部下の無能を嘆く上司は多いですが、実は上司のコミュニケーションの仕方に問題があるのです。コーチングによるコミュニケーションは、部下の能力を最大限に発揮することに大きく寄与します。


コーチングとは、「聴く」と「質問する」の2つのスキルを駆使して対象者自身の持つ答えを引き出していくコミュニケーションスキルです。コーチングは、経営者や社員のパフォーマンス向上のために極めて有効だと認識されるに至っていますが、実際の経営の現場ではどのように役立つのでしょうか。


コーチングのスキルを使ったコミュニケーションの事例を取り上げて、解説をしていきます。


●上司と部下との会話

事例1は、中小製造メーカで交わされる会話です。事例のため、やや誇張したシチュエーションとなっていますが、あなたの企業でもありがちな会話ではないでしょうか。

▼事例1 上司と部下とのありがちな会話


上 司: ○○くん、ちょっと来てくれないか。
部 下: はい。
上 司: 例の、△△工業さんへ納める部品、納期に間に合いそうかな?
部 下: いやぁ、どうでしょう・・・。
上 司: どうでしょう、じゃないよ。どうなんだ?
部 下: いやぁ、ちょっと厳しいかと・・・。
上 司: それは困るなぁ。
部 下: はぁ・・。
上 司: どうするつもりなんだよ、前回も納期遅れでクレームもらったばかりだろう?
部 下: ですからそのぉ、いろいろとありまして・・・。
上 司: じゃぁ、すぐにでも工場長にラインを組み替えさせるとかしたらいいじゃないか。
部 下: はぁ、わかりました、そうします。
上 司: そうしますって、○○くん・・・まったく・・。もういい、俺が工場長に言うよ。仕事に戻りなさい。
部 下: はぁ・・・すみません。


この事例から窺えるのは、責任を持って仕事をするという姿勢が社員に身についていないということです。このようなダメ社員では経営者が腹を立てるのも無理もない、と思うかも知れません。しかし、もし経営者がコーチングのスキルを身に付けていたとすれば、事例2のようなコミュニケーションも可能なはずです。


▼事例2 コーチングスキルを使った上司と部下との会話


上 司: ○○くん、ちょっと来てくれないか。
部 下: はい。
上 司: 例の、△△工業さんへ納める部品、納期に間に合いそうかな?
部 下: いやぁ、どうでしょう・・・。
上 司: 難しいのかい? ・・・本当のところはどうなんだい?
部 下: 実はこのペースだと、とても間に合いそうにないんです。困りました。
上 司: そうか。困ったなぁ・・・。
部 下: ・・・。△△工業さんは前回も遅れたんで、やっぱりちょっとマズいですよねぇ。
上 司: 君はどうしたいと思っているんだい?
部 下: そうですねぇ・・・。工場長に言ってラインを組み替えてもらうとか・・。
上 司: そうすれば、いつ頃完了できるだろう?
部 下: ・・・。再来週の中頃でしょうかねぇ。
上 司: 再来週? 納期は来週中だったよなぁ。
部 下: ・・・。えぇ。
上 司: 何か別の方法は考えられないのかい?
部 下: いやぁ、今の作業のやり方だと、どうしても・・・。
上 司: そうか。今の作業のやり方にはどんな問題があるのかい?
部 下: 機械の調整にどうしても手間取るんです。結構、時間がかかるもので。
上 司: 時間を短くする方法としてはどんなことがあるだろう?
部 下: ・・・。調整用の治具を作ればだいぶ早くなるはずなんですけど。
上 司: どのくらい?
部 下: かなり早くなりますよ。
上 司: 納期に間に合うくらいか?
部 下: う~ん、今週中に治具ができれば、何とか間に合うかも知れません。
上 司: なるほど。今週中にその治具を作る方法というと?
部 下: ・・・。調整用の治具を作ればだいぶ早くなるはずなんですけど。
上 司: どのくらい?
部 下: かなり早くなりますよ。
上 司: 納期に間に合うくらいか?
部 下: そうですねぇ、多分、生産技術の人に頼めばすぐ作ってくれると・・・。


事例2から分かるように、この社員は本来、決してダメ社員ではないのです。事例1のような上司のコミュニケーションスタイルのため、能力発揮が妨げられてきたのです。事例1の上司は典型的な指示命令型で、しかも、かなり一方的です。


矢継ぎ早に責め立てられているため、部下の心はそこで閉ざされ、解決策を考えることを放棄してしまっています。


では、事例2からコーチングスキルを観察してみましょう。この事例の上司は部下に対して「聴く耳」を持って接しています。「本当のところはどうなんだい?」という質問で、部下に安心して話すことが出来るという感覚をもたらしています。


また、事例2での上司は、問題解決策の発見へ向けて、質問の後、沈黙を多用しています。意識的に部下自身の頭で考えさせているのです。時間はかかっても、部下は部下なりに回答を出しています。


事例1では、部下に考えさせることをせず、叱責に続いて「工場長にラインを組み替えさせる」という具体的な指示を与えています。しかし事例2からわかるように、それは解決策になっていません。本当の解決策になるかどうか、それは現場の人間が最も良く分かっているのです。


あなたの通常のコミュニケーションは、事例1と2のうち、どちらに近いでしょうか。ぜひ、事例2のやり方を実行してください。

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