コーチングは人間力を高める
実際にコーチングを学び、修得した人たちの多くは、「コーチングとの出会いにより、人生が変わった」とさえ言います。もしコーチングが単純な言葉のテクニックであれば、それはあまりにも大げさな表現だと言えるでしょう。コーチングの何が、そこまで人を魅了するのでしょうか。
コーチングは人間力を高める
ビジネスにおいても、一般的な社会生活や家庭生活においても、コミュニケーション能力の巧拙で、それらから得られる成果や満足度が大きく変わってきます。そのため、「人生の質はコミュニケーションの質で決まる」とさえ言われます。コーチングの本質がコミュニケーションスキルであることを踏まえると、コーチングスキルの修得は、人生の質を高めていくことにつながるはずです。
実際にコーチングを学び、修得した人たちの多くは、「コーチングとの出会いにより、人生が変わった」とさえ言います。もしコーチングが単純な言葉のテクニックであれば、それはあまりにも大げさな表現だと言えるでしょう。コーチングの何が、そこまで人を魅了するのでしょうか。
まず、コーチングが機能する前提が、互いの信頼関係だということを思い起こしてください。それはコミュニケーションが機能する前提でもあります。そのため、コーチングスキルの重要な部分は、特に信頼関係づくりのためのものとなっています。相手を認め、相手の言葉に耳を傾けるといったスキルは、まさにそのためのものです。相手との間に安心感を築き、何でも話せる雰囲気を醸成していく。そのような信頼関係づくりは、単純に「部下育成の手法の一つ」といった枠を、はるかに超えるものであり、人間としての根源的な部分に強くアピールするのが魅力なのです。
相手を「認める」「聴く」といったスキルは、簡単なように見えるかも知れませんが、なかなかできない人が多いです。言葉づかいの問題以上に、人間としての度量の大きさが問われるスキルだからです。それらができるようになれば、自らが人間として成長していることを実感できるでしょう。それもまた、コーチングを学ぶ魅力です。
いわば「人間力」を鍛えてくれるのがコーチングであり、それは「認める」「聴く」以外のスキルについても同様です。
たとえば「質問する」というスキル。これは、相手の中にあるものを引き出すための技術です。効果的に行なうには、相手が必ず答えを持っていると信じることが必要であり、相手がどのように答えようとも動じない姿勢も求められます。
この姿勢が崩れると、質問がYes/Noで答えられるクローズドクエスチョンばかりを使うことになり、相手の中にあるものを効果的に引き出すことができなくなります。Yes/Noで答えられない質問であるオープンクエスチョンを使う方が、はるかに多くのものを相手から引き出すことができるのですが、なかなかそれができないのです。決して口癖の問題ではなく、相手からの予期せぬ答えを避けようとする自己防衛心が、オープンクエスチョンではなく、クローズドクエスチョンを使わせます。まさに、人間としての度量が問わる場面だと言えるでしょう。
「認める」「聴く」そして「質問する」といったスキルを中心にするコーチングは、どちらかと言えば「受け身」的なコミュニケーションだと考えられがちです。しかし、コーチは常に「受け身」を強いられるわけではありません。
というのは、相手との信頼関係を築くには、コーチが自分自身のことを語ることが、実は非常に重要だからです。考えてみてください。誰かと対話をする際、自分が根掘り葉掘り質問を投げかけられている一方、相手が相手自身のことを全く話さないとしたら、どうでしょうか。話してくれなければ、相手を理解することもできません。理解できない相手を心から信頼することもまた、できないのです。
コーチングでは、自分自身のことを語るのを「自己開示」と呼びます。特に、自分自身の経験談を語ることは、コーチングにおいて、相手の「気づき」や「行動」を促すのに非常に効果的です。自らの経験談ほど、説得力のある話はないからです。優れたコーチは、これをセッションの中で効果的に使います。そのために、自分自身の経験を、常にたな卸しして、いつでも話せるように準備しておくほどです。
自分自身の経験や、自分が感じていることを的確に話すことは、自分自身をよく理解していなければできません。そして自分自身をよく知らずして、自己の成長はありません。また、「自己開示」することは「自己解放」でもあり、それがコーチングに魅力を感じる大きな要因となっているのです。
コーチングが上達するには、人間としての度量をも広げていかなければなりません。一方、特に経営者をはじめとするビジネスパースンにとっては、ビジネススキル以上に、人間的魅力が問われます。つまり、共通して求められるのが「人間力」なのです。それを向上させるのに、コーチングを学ぶことは、非常に有益なのです。